ゴー宣DOJO

BLOGブログ
切通理作
2013.9.22 20:41

「本当の話」をしたいのです


 宮崎駿がアニメーターになったのが昭和
38年。かつての東京オリンピックの前年でした。

  あれから半世紀近く経ち、新たなオリンピックで招致しようといういまの日本の「ふたたび経済成長を」というムードの中で、宮崎駿が引退宣言をしたのには符牒を感じます。

 「人口が減っていくから、今後はアニメーションも成り立たなくなりますよ(笑)。でも無理ならやらなくていいんです。僕はそう思ってます。いつまでも『巨人軍よ永遠なれ』とか、ちゃんちゃらおかしい。『ジブリよ永遠なれ』もありゃしないです」(スタジオジブリの雑誌「熱風」7月号の談話記事「憲法を変えるなどもってのほか」より)

 宮崎駿の長編映画一本が、その年の邦画・洋画含む全映画を合わせた動員数を上回る。かつての、人口も多く、イケイケドンドンの時代の中での興行形態が、いまでもあるかのような幻想をその肩に担ってきた。その自分がいなくなればもう終わりだよと、引退を以て示したような気がしてなりません。

 

 僕は東京オリンピックの年に生まれました。若者時代は80年代でした。ちょうど宮崎駿が『風の谷のナウシカ』以降、同時代的に人気を博する作品を送り出し、スタジオジブリが始動した時期です。

当時はバブル前夜で、ヤング・エグゼクティヴだのグランドデザインだのといった言葉がもてはやされ、大きなポイントだけ掴んで現実の高見に立つのがこれからの生き方だというようなことが言われていました。

 しかしそんなものは、結局自分自身が現実を生きていない人間の逃げ口上であり、自分の身体で感じることがいかに大切かを、宮崎駿は五感を刺激するアニメ作品を通して教えてくれたと僕は思っています。

 

 個々の生き方は実際には断片的なもので、今後ますますそうなるだろう。どんなに重要な仕事を担っても、人は状況の一端にしか関われないことが多い。しかし、己の仕事に全力で打ち込むことも出来れば、愛する人を持つことも出来る。その瞬間瞬間を焼きつけていったのが『風立ちぬ』であると、僕は思います。

 

 この映画を見た、僕の知人のある若い女の子が、「最後に『生きねば』という言葉が出てきましたけど、私はあの映画を見て『きちんと生きねば』と思いました」と言っていたのが印象的でした。

 

 『風立ちぬ』は、宮崎駿の少年時代よりも、さらに前の時代の日本を舞台にしています。彼が生育した頃にはまだ肌身で感じられたであろう、もう多くは死んでしまった、かつての日本人のあり方、佇まいから、宮崎駿が何を汲み取っているのか、映画として「いま、そこにあるものとして」示したのであろうとも思います。

 

 高森昭勅さんの感想を聞いていると、その世界と時代を越えた対話をしているように感じられます。小林よしのりさんも、その辺りを語ってくれるような気がします。

 

 いまを生きる人間として、僕はその話に興味があります。


 優れた作品は、人に「本当の話」をしたい気持ちにさせてしまうものだと思うからです。

第38回ゴー宣道場
「『風立ちぬ』から現代を考える」

平成25年10月13日(日)午後1時 から
『人事労務会館』 にて開催します。

「人事労務会館」
(住所:東京都品川区大崎2-4-3 )は、
JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン・りんかい線
『大崎駅』 の 北改札口 を出て左へ、
「西口」 側の左階段を降りて、徒歩3分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

人事労務会館のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、 “ こちら ” でどうぞ。

HP上の申し込みフォームからも申し込み可能です絵文字:重要絵文字:パソコン

上 ↑ のHPメニュー「道場参加申し込み」もしくは下 ↓ の申し込みフォームバナー(画像)
クリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。
当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。

 道場参加申し込みフォーム

引き続き、往復ハガキでの応募も受付けております絵文字:重要絵文字:記念日


入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第38回参加希望』 と明記、

さらに、


1. 
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5. 
職業(学生の方は学校名)
6. 
募集を知った媒体
7. 
応募の理由と道場への期待

返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、


152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。

応募〆切平成25年10/2(水)必着です。


当選された方にのみ
当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日
(往復ハガキで応募された方は返信ハガキで、ネットから応募された方は
 当選メールでの通知となります。)

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

次回の開催予定

INFORMATIONお知らせ